令和6年度(2024年度)阪大工学部編入体験記

2023年の8月17,18日に行われた大阪大学工学部(電子情報工学科、情報通信工学科目)の編入試験で合格をいただいたので体験記を書きます。できるだけ役に立つ情報を詰め込もうとしたので読みにくいかもしれません。この記事が来年度以降の編入試験に役立ったら嬉しいです。

 

 

自己紹介

  • 出身:四国の高専 電子制御工学科
  • 席次:1年1位 2年1位 3年1位 4年1位
  • TOEIC

  ・公開テスト790点(L440,R350)(4年1月)  

  ・IP800点(L445,R355)(5年4月)

  • 受験した大学:

 ・大阪大学基礎工学部情報科学

  ソフトウェア科学コース(不合格)

 ・大阪大学工学部電子情報工学

  情報通信工学科目(合格)

 ・広島大学情報科学部(合格)

 ・徳島大学理工学部知能情報コース(合格)

志望動機

  • 旧帝大でありレベルが高い
  • 情報について学べる関西圏の大学に行きたかったから。
  • 興味のある研究室があったから。
  • 大阪に行きたかった

試験内容について

英語(来年以降はTOEIC)、数学、専門、面接、調査書の5つを評価基準としています。点数配分は、英語150、数学200、専門200、面接100、調査書200の850点満点です。

以下に特徴を述べておきます。

 

僕の代は筆記試験だったのでどのくらいの点数の人が受験するのかは分からないです。ただ、工学部よりレベルの高い基礎工学部(情報科学科)は800点以上の人が受かっている印象なので、工学部は700点以上あれば十分だと思う(あくまでも予想)。

 

  • 数学

試験時間は2時間で、大問4問構成の試験です。阪大工学部は複素関数、確率統計は確実に出ると思っていいです。残り大問2つ分は、線形代数微分積分応用数学ぐらいから出る感じです。全体的に、知ってたら解けるけど知らなかったら解けないような問題が多い印象です。出題範囲が広いので教科書の隅々まで理解するように勉強する必要があると思います。

 

  • 専門

電子情報工学科は物理、電気電子回路、電磁気、コンピュータ工学の4つから出願時に2つ選択です。第一志望の大学が他にあるのなら、そこにあった科目を選択すべきだと思います。

僕は基礎工学部が第一志望だったので、そこにも出題される電磁気を選び、あと1つは簡単といわれているコンピュータ工学を選択しました。以下にそれぞれの科目について述べておきます。 

 

・物理

力学、熱力学、波動から出題される。過去問を見た感じ、力学+熱力学or波動という出題形式だった。基礎工には波動は出ないので候補から外した。 

 

・電気電子回路

僕は回路やりたくなかったので過去問に目を通してないです。 

 

・電磁気

最近難化している。例年は編入用の電磁気の参考書に載ってるような典型問題が多かったが、最近は見たことない問題が出てきている。

 

・コンピュータ工学

基数変換、論理回路、プログラムが出る。基数変換は簡単だし、論理回路は、やり方を覚えたら確実に得点できるレベルです。安定して8割以上は取れると思う。おすすめ。

 

  • 面接

志望動機、卒研内容くらいがしっかり言えたらいい点数くれると思う。

 

  • 調査書

調査書には、高専での科目ごとの成績を素点換算で書くところがありました。高専の定期試験でめちゃいい点数取ってた人は有利かも。

 

試験前日

午前中に高速バスで四国から大阪に向かいました。高速バスの中で精神統一してました。バスの揺れが大きくて酔いましたが何とか大阪に到着しました。15時頃にホテルに到着し、そこから阪大に下見に行き、帰って晩飯を食って22時に就寝しました。

 

試験1日目

試験会場につくと、座席表が張られてました。それを見たところ、電子情報工学科の出願人数は約50人でした。当日は空席が少しあったので実際にはもうちょっと少ないです。電気電子が第一希望の人は10~20人くらい、情報通信が第一希望の人は30人くらいだったと思います。

試験開始の30分前に到着しました。

 

  • 英語(9:00~10:30)

僕の代で筆記の英語試験が終わりなので詳細は控えます。長文がchatgptの話だったので楽しく読めました。和文英訳、英文和訳、語彙問題どれも例年通りで、8割くらいは取れたと思ってます。

 

  • 数学(11:00~13:00)

傾向通りでしたが、難化していたと思います。問題の詳細はあまり覚えてないので過去問を取り寄せてみてください。

 

・大問1:線形代数

 

編入数学過去問特訓の90ページの例題3とほぼ同じ問題。2*2行列の成分がp,qで表されてるやつ。対角化して行列のn乗求めて、最後にn→∞にする問題だった。見たことある問題なので全く時間がかからずに解けた。10割取れた。

 

 

・大問2:微分積分

 

ここは明確に覚えていません。曲線の長さを求めたり、ある条件を満たす微分方程式を作って、解くみたいなことをさせられた記憶がある。グリーンの定理みたいな式の証明があり、そこはできませんでしたが残りはできました。8割できた。

 

・大問3:複素関数

 

積分への応用が出ました。フレネル積分をやらせる問題でした。確か問題はcos(x^2)を0から∞で積分だったと思います(うろ覚え)。誘導に乗れば解けます。最後に移項をミスって答えにマイナスがついてしまったので9.5割。

 

・大問4:確率統計

 

大問1から3まで調子が良かったが、ここで雲行きが怪しくなった。

機械が壊れる原因(事象)がA,B,Cの3つあって、機械が故障したときに原因がAである確率を求めたりする問題だった。条件付き確率の理解が足りなくてあまりできなかった。

また、標本検定の問題があった。度数分布表(階級で表されてるやつ)から、母分散、母平均の信頼区間を求める問題でした。検定のために統計量を計算しないといけないが、標本平均、標本分散を求めるときに、度数分布表の階級値を使わないといけないので少数の計算が大量に発生し、計算に時間がかかったにもかかわらず、信頼区間の値が直感的におかしい値になってしまった。時間の大部分をこの問題に費やしてしまった。途中式はしっかり書いたので部分点はあると思う。

5割と予想。

 

  • 電磁気(14:30~16:00)

 

大問1は導体球に誘電体挟まってるやつで、半径ごとの電界を求めたり、分極ベクトルを求めたり、球体のもつエネルギーをエネルギー密度を用いて積分で求めたりした。10割できた。

 

大問2はyz平面の電流(電流密度J)を厚さdで流して、x<0,x>dでの磁界を求めたり、0<x<dでの磁界を求めたり、電流密度Jをxの関数にした時にどうなるかみたいな問題でした。正直見たことない問題で、意味わかりませんでした。

(1)にマクスウェルの方程式を書かせる問題があったのでそこだけ書いて残りはほぼ白紙です。2割くらいしかできてません。

 

 

  • コンピュータ工学(14:30~16:00)

 

基数変換、補数の問題、論理回路カルノー図を使った簡単化、1bit,2bit比較器の設計が出ました。

最後のプログラムの問題は、ガウスの消去法を使って連立一次方程式を解くプログラムについての問題でした。○行目までを実行したときの配列の結果、計算量、コードの修正点を示して改善する方法を記述する問題でした。ガウスの消去法を知っていたのでスムーズに解けました。コンピュータ工学は10割取れたと思います。

 

 

全体的によくできたと思いながらホテルに帰って、気は抜かず、面接で話すことを再確認して23時に寝ました。

 

試験2日目

1日目の試験会場に集合し、各学科ごとに面接の待機場所に分かれた。電子情報工学科は第一希望が電気電子系か情報通信系かで待機場所が違った。面接は受験番号の早い順に1人ずつ呼ばれる。僕は最後の方だったので結構待ちました。(噂によると受験番号は名前の五十音順らしい)

面接の待機場所ではスマホは電源OFFにしないといけないので面接対策用のノートや本などを持っておくといいと思う。僕は頭の中で面接のイメージをしてました。

 

  • 面接

    面接官は3人でした。聞かれた内容は以下の通りです。

  • 受験番号と氏名は?
  • 志望動機
  • 志望動機の深堀り
  • 試験の出来は?
  • 卒研は何をやってるか
  • 卒研内容の深堀り
  • 他に受験した大学は?
  • もしここに受かったらどこに進学しますか?

 

試験の出来についても、面接官に大体あっているといわれました。もし受かったら進学してくれるかを聞いてくれたので受かったのではないかと思った。(合否関係なく聞いてるかも)

 

面接が終わった後は、吹田キャンパスの近くにある万博記念公園に行ったり、梅田をうろうろして帰りました。

 

結果

 

試験の1週間後に合格発表がありました。結果は合格でした。嬉しさより安心の方が勝ちました。基礎工に落ちてから1か月間、諦めずに頑張ってよかったです。

 

成績

試験の1ヶ月後に成績開示の結果が返ってきました。

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僕は最高点より4点低い点数でした。結構高くて嬉しい。合格ラインは年度にもよるけど、基本は500点以上が目安だと思う。

 

使った参考書

金のフレーズ

TOEICのための単語帳です。電車通学の合間などの隙間時間に読んでました。英単語を見て即座に日本語の意味が出るように何周もしました。この本に出る単語は完璧にしましょう。

 

文法特急

TOEICのPart5(穴埋め問題)の対策に特化した本です。TOEICのリーディングのスコアupのためにはpart5を早く正確に解いて、後の長文に時間を割けるようにすることが大事です。なのでpart5の問題のパターンを抑えて、速く解けるようになるまでやり込みましょう。この本も隙間時間にやってました。

 

公式問題集

TOEICの問題集です。時間を測って解いて見直し、リスニングのpart3、part4は完璧に音源についていけるまでシャドーイングしてました。口で喋りながら、頭の中ですぐ和訳していくことを意識してました。part6、part7の長文は構文分析して文構造をはっきりさせてから音読をしてました。この問題集には長文の音源も付いてるので、その音源の速度くらいでスムーズに読めることを意識しました。僕は公式問題集の6,7,8,9をやりました。

 

  • 数学

 

編入数学徹底研究

編入数学の基礎を固めるための参考書です。他の大学志望で、やらなくていい分野があるなら飛ばすべきですが、阪大工学部の数学は幅広く出題されるので、この参考書の全てをやりましょう。

僕は3年の春休みに取り組み始めて、受験までに3周はしました。1周目は8割くらい自力で解けず、答えを見て理解してました。最初は自力で解けなくても焦らずに、何が分からないのかをはっきりさせ、それを徹底的に潰すことをしましょう。僕は1周目で時間をかけて、分からないことを全て分かるようにしたので2周目からはほぼ全て自力で解けるようになりました。

YouTubeにこの参考書の解説動画をupしている方がいるのでそれを見て分からないところを潰しましょう。

 

 

編入数学過去問特訓

色々な大学の編入試験の過去問が分野別で載ってる参考書です。A、B、Cと難易度別で問題が掲載されています。徹底研究の内容を理解していたらA、B問はほぼ解けると思います。阪大含む旧帝大レベルの大学編入を目指すならC問題までやりましょう。

僕は4年初めから取り組み、3周しました。

 

大学編入のための数学問題集

この参考書も過去問特訓と似ていて、編入の過去問が載ってます。過去問特訓との違いは解説が丁寧であることです。この本の半分以上のページが解説になっています。問題ごとに重要なポイントをまとめてくれていて分かりやすいので、徹底研究が終わった次に取り組むのは過去問特訓ではなく、この参考書の方がいいかもしれません。

僕は4年生の間に過去問特訓を完璧にして、5年生になり、過去問演習をもっとしたいと思ってこの参考書を始めました。2周くらいしました。

 

大学編入試験問題徹底演習

この参考書も編入の過去問が載ってます。いい問題も結構あるのですが、この参考書は解説が丁寧ではなく、レイアウトが見づらいので過去問演習のメインとして使うのはお勧めしません。

僕は5年生の時に難しそうな問題(特に複素関数)だけピックアップして解いてました。

 

細野真宏の確率

阪大基礎工の確率対策に使ってました。阪大工学部ではやらなくていいかも。確率で難しいとされる考え方の部分を丁寧に解説してくれてます。高校範囲の確率の勉強はこれ一つで大丈夫だと思います。今年出題された条件付き確率はのってないので他の参考書で勉強する必要があります。

 

確率統計(高専の教科書)

阪大工学部の確率統計の分野はこの本でほぼ網羅できます。この本の隅から隅まで理解してください。

 

マセマ確率統計

高専の確率統計の教科書には載ってない、確率密度関数の変数変換や、モーメント母関数などを扱っています。確率密度関数の変数変換は阪大工学部2023年度の試験で出題されており、モーメント母関数は京大編入で出題されたことがあります(過去問特訓に確か載ってた)。

阪大工学部で出されそうな内容が結構載っているので時間があるならやっておいた方がよさそう。高専の教科書にも載ってる内容も多いので必要なところだけピックアップしたらいいと思う。

 

応用数学(高専の教科書)

ベクトル解析、複素関数ラプラス変換フーリエ解析が学べます。複素関数は確実に出るので、定理の証明まで完璧に理解するべき。(今年はコーシーの積分定理の証明が出たから)

ベクトル解析も過去に出題されていて、ラプラス変換積分方程式を解かせる問題として出題されているので勉強した方がいいと思います。フーリエは出題されてるのを見ていませんが、出る可能性は0とは言い切れないので確実に受かるためにはやるべきだと思います。

僕自身は確実に受かりたかったので全て網羅しました。

 

応用数学問題集(高専の教科書)

応用数学のテキストの問題集です。テキストで基礎を学んでこの本で演習を積みましょう。特にB問、C問は本番の試験で出そうな問題が多いのでやることをおすすめします。

 

複素関数攻略への一本道

スタプラで東大編入志望の人が使ってたのを見て、気になって買いました。高専の教科書に載ってない内容が学べて、痒い所に手が届くいい参考書でした。場合分けが必要なローラン展開(過去問で出題された)がこの本のおかげで理解できました。阪大工学部の複素関数の問題は近年、複素積分の出題が多いですが、この本は複素積分の演習のバリエーションも多くておすすめです。より複素関数の理解が深まります。

 

  • 電磁気

基礎物理学演習II

基礎物理学演習Iと一緒にノリで買いましたが、普通に電磁気学演習を買った方がいいと思います。

編入数学徹底研究のように、例題があってから類題を解く構成になってます。良い問題が多いです。解説が丁寧ではないので高専の授業で電磁気をやってない人はマセマから手をつけた方がいいと思う。

 

マセマ電磁気

電磁気の基礎はこれで理解できると思います。高専で電磁気を授業で扱ってる人でも学べることが結構あるのでおすすめ。特にポアソン方程式はこの本を見るまで知らなかったし、2023年度の試験にこれを使わないと解けない問題が、実際に出題されていたので目を通すことをおすすめします。

 

マセマ電磁気演習

演習版です。阪大工学部の試験で出そうな問題が結構あるのでおすすめ。過去問にも似たような問題が出てたりする。

 

詳解電磁気学演習

めちゃ分厚い本です。問題が大量に載ってます。過去問でわからなかった問題の類似問題をこの本から探して理解するのに使ってました。また、受験1ヶ月前に出題されそうな問題を選んで解いてました。

演習用に持っておくといいと思う。

 

  • コンピュータ工学

論理回路入門

論理回路入門

論理回路入門

  • ノーブランド品
Amazon

基数変換、論理回路はこれ一冊でいけます。この本に載っている問題が全部できたら基数変換、論理回路は大丈夫だと思います。僕が基数変換、論理回路のために勉強したのはこの本だけです。

 

定本Cプログラマのためのアルゴリズムとデータ構造

プログラムの問題の対策用です。基本的なアルゴリズム、データ構造は抑えられます。C言語でアルゴリズム、データ構造を実装したコードが載せられており、それに対して文で細かく解説してくれるのでプログラムが苦手でも理解できると思います。

過去問ではこの本に載っているアルゴリズム、データ構造の範囲で出題されていました。今年はこの本に載ってない数値計算のプログラムが出たのですが、数値計算法を知らなくてもコードが読めたら問題無いので、プログラム問題に対してはこの本一冊やってれば十分だと思います。

 

なぜ合格できたか

1.高専生活において常に頭の片隅に編入の意識があったから(低学年の時から編入に対する意識があった)

 

難関大学に比較的簡単に編入できることが、高専に入学した一つの理由でした。なので高専一年生の時から編入を頭の片隅で意識し、定期テストは100点以外許さないという意識で勉強していました。これが調査書の点に大きく影響したと思います。また、定期テストの勉強でも、原理から理解することを意識したおかげで、編入の勉強におけるスタート地点が少し良い状態であったことが大きかったと思います。

 

2.studyplus(勉強記録アプリ)をやっていた。

 

studyplusは勉強版のTwitterみたいなアプリです。勉強の記録をするとタイムラインに投稿されます。そのアプリで東大、東工大、阪大などの編入志望の人をフォローし、その人の記録に負けないように勉強してました。数少ない大学編入志望の仲間が持てるのは心強いです。勉強したことを記録していくことで自信が持てるようになりました。受験本番前にも勉強記録を見返して、自信を持って臨めました。

 

後悔していること

合格はできましたが、こうしておけばよかったなと思うことがあります。

 

  • TOEICを短期集中で勉強すればよかった

僕の経験からするとTOEICは短期集中で点が上がるものだと感じました。僕は、TOEICの勉強を2年の春休みからやってました。その頃は少しずつ勉強して4年に800点以上が取れるようにしようと思っていて、TOEICの勉強は他の勉強の息抜きとしてやってました。そのスタンスを続けていたせいで4年に入っても、目標の800点を越えられず720点にとどまり、数学などの勉強をしながらTOEICを勉強するはめになりました。これではまずいと思い、4年の10月から1月まで、他の科目の勉強を止め、TOEIC一本に集中する期間を設けました。そのおかげで790点が取れました。

3年くらいにTOEICのみに専念する時期を設けて、本気で勉強してたらよかったなーと後悔してます。

 

  • もっと他の大学の過去問を解けばよかった

僕は時間がなくて、阪大工学部受験一週間前まで、受験する大学の過去問しか解いてませんでした。受験一週間前になって、他の大学の過去問を解いてみると、未知な問題が多くてやりがいがありました。他の大学の直近の過去問を解くことで、問題への対処が上手くなるのではないかと思います。その中で新たな学びも得られると思うので過去問演習は大事だなと痛感しました。

 

伝えたいこと

  • 編入試験はメンタルが重要

編入試験は、大学入試と比べて模試が無いので自分がどの立ち位置にいるのか把握しづらいです。その中で自分は受かるという自信を持たないと、精神的にもしんどくなります。

その根拠のない自信を持つには、とにかく時間さえあれば勉強することが大事だと思います。これだけ勉強したなら受かるだろうという心持ちで本番に臨めるように勉強しましょう。

 

志望大学を決めたら、編入体験記を漁って、どのようなレベルの人が、何の参考書を使って合格しているかという情報を集めましょう。情報を集めて、受かるためには自分は何が足りてなくて、何をしていけばいいかという合格へのルートを自分の中で作ることで、この通りにやったら受かるだろうと何となく確信が持てるので、受験勉強中のモチベ維持にも繋がります。

 

 

何か質問があればX(Twitter)で(@aomidro3106)に遠慮なくDMしてください。読んでいただきありがとうございました。

令和6年度(2024年度) 広島大学情報科学部編入体験記

広島大学情報科学部に合格をいただいたので体験記を書きます。この記事が来年度以降の編入試験に役立ったら嬉しいです。

 

 

自己紹介

  • 出身:四国の高専 電子制御工学科
  • 席次:1年1位 2年1位 3年1位 4年1位
  • TOEIC

  ・公開テスト790点(L440,R350)(4年1月)  

  ・IP800点(L445,R355)(5年4月)

  • 受験した大学:

 ・大阪大学基礎工学部情報科学

  ソフトウェア科学コース(不合格)

 ・大阪大学工学部電子情報工学

  情報通信工学科目(合格)

 ・広島大学情報科学部(合格)

 ・徳島大学理工学部知能情報コース(合格)

編入試験までに、高専でどのように過ごしていたか、どのように勉強していたかについては、後でまとめて追記しようと思います。

志望動機

  • 大阪大学を第一志望にしており、入学確約書の提出が遅く、試験内容もほぼ阪大と被っており、滑り止めとして最適だったから。
  • 情報について学べる関西圏の大学に行きたかったから。
  • 興味のある研究室があったから。

試験内容について

TOEIC(TOEFL)、筆記試験、面接、成績の4つを評価基準としている。以下に特徴を述べておきます。筆記試験については過去2年分の過去問が上がっているのでリンクを貼っておきます。

www.hiroshima-u.ac.jp

TOEICはIPも提出可能。点数換算の基準は明らかではないが、僕のように滑り止めとして受ける人がいることや情報系の人気を考えると600点以上は必要かもしれない。

  • 筆記試験

なんと試験時間が2時間半もあります。そのため時間のかかる問題が多くなる印象。大問5問構成の試験。過去問は僕が過去問を解いて感じた、大問それぞれの傾向を以下に示しておく。

・大問1

微分方程式が頻出。過去問では二階線形微分方程式が出題された。それに加えて確率統計に関する小問が出ていた。

・大問2

微分積分の問題。重積分極値問題が出題される傾向

・大問3

線形代数の問題。線形独立の証明から固有値固有ベクトルに関する問題など幅広く出る印象がある。

・大問4

確率統計の問題。幅広く学んでおく必要がある。特に統計量(平均,分散など)の式証明がよく出ていた。

・大問5

C言語のプログラミングの問題。プログラムの穴埋め、関数を作る問題。ポインタの理解が大事。

 

以上より、確率統計が特に重要になってくる試験だと思う。

 

  • 面接

口頭試問を含む。口頭試問は特に傾向は定まってなく対策が難しい。僕が知っている範囲では、過去に、機械学習に関する問題、ポインタに関する問題が出たらしい。面接は志望動機、卒研内容、大学で何をしたいか、などの典型的な質問を答えることができたら十分。

 

試験当日

出願人数は29人。受験人数26人でした。募集人数5人であるので倍率は5.2倍でした。

  • 筆記試験(9:30~12:00)

傾向通りでしたが全体的に難化していました。時間のかかる問題が増えた気がします。実際の問題は過去問として既にWebサイトに載ってます。以下に詳細を述べます。

・大問1:

(1)線形の連立微分方程式
(2)回転行列を三乗したときに単位行列となるθを求める
(3)(母数の推定量-母数)^2の期待値を分散σ^2とb=μ-θ(μは平均)を用いて表す問題。


(3)が途中でうまくいかなかったので8割。

 

・大問2:

(1)ガウス積分の証明
(2)二変数関数f(x,y)が与えられ、その最大値と、最大をとるときの(x,y)を求める。
(3)f(x,y)の広義二重積分。(1)の関係をうまく用いる

 

(2)でf(x,y)の偏微分が面倒で時間がかかったが全て解けた。10割

 

・大問3:

未知数α,β(実数)として3次正方行列A={[1 α β],[α 1 β],[β α 1]}とする。

(1)Aの固有値を求める。行列式の変形がコツ。
(2)大きさが1のベクトルの中で二次形式の関数を最小にするベクトル、またその最小値を求める。
(3)Aのすべての固有値が正であるとして、log{detA}+tr(A^-1)を最小とするαとβを求める。

 

とても難しい問題であった。(1)しか解けていない。周りも解けていないようだった。(2)(3)は時間が足りなかったので方針だけ書いた。後で解きなおしたがその方針であっていたので約4割。

 

・大問4:

yi=axi+b(i=1,2,...,n)について、yの統計量をxの統計量を用いて表す問題

(1)yの平均をxの平均x、xの標準偏差sx、a,bのうち必要なものを用いて表す。
(2)yの標準偏差をxの平均、xの標準偏差sx、a,bのうち必要なものを用いて表す。
(3)共分散をxの平均、xの標準偏差sx、a,bのうち必要なものを用いて表す。
(4)相関係数rの値を求める。yi=axi+bの関係から、rが1or-1になるのは明らか。aが正か負かの場合分けに注意。
(5)yの平均が0,yの標準偏差が1であるようなa,bをxの平均、xの標準偏差sxを用いて表す。
(6)x1,x2,...,xnのうち、平均から±2sxの幅に含まれる得点の割合はどの程度か。

 

(1)から(5)はできた。(6)は暗記問題であり、覚えてなかったのでできなかった。配点は低いと思われるので9割。

 

・大問5:

配列x={0,14,6,1,2,8,10,13,7,15}について、バブルソートクイックソートを行うプログラムについての問題

(1)引数として与えられた配列の要素を表示する関数を作る。
(2)xをバブルソートクイックソートでソートしたとき、それぞれについて、入れ替えを行う関数swapが何回呼び出されるか。
(3)二つの引数の値を入れ替える関数swapを作る。引数はポインタ。
(4)バブルソートクイックソートを行う関数について、要素を降順に並べるようにするにはどこをどのように変更すればよいか。

 

(2)で実行結果を書き下すのに時間がかかっただけ。10割。

 

  • 面接(13:30~)

受験人数を3分割して、3部屋で並行して面接が行われた。時間は体感10分いかないくらい。タイマーで時間を測っていた。面接官は2人でした。聞かれたことを以下に示します。

 

  • 受験番号と氏名は?
  • 志望動機
  • 志望動機の深堀り

これらの質問の後、質問する人が変わり、口頭試問に入った。内容は以下の通り。

  • 構造体とは何か、そしてそれを使うメリットは?
  • 構造体とクラスの違いは?

時間が余ったので自己アピールをしてくださいと言われた。自己アピールをした後、それでも時間が余ったので数学の好きな公式を聞かれた。オイラーの公式について語っていると、途中でタイマーが鳴って強制終了。

 

口頭試問については、去年はポインタについて聞かれたという情報から、次は構造体だろうなと予想していたら当たってました。予想していた内容そのままだったので、完璧な回答ができました。面接官も完璧ですねと言ってくれてうれしかったです。

 

結果

合格でした。合格者5人の枠に入れてるかとても心配でしたが、例年と違い8人も合格していました。僕の編入受験において、一番最初にいただいた合格だったので嬉しかったです。

 

伝えたいこと

  • 広島大学情報科学部は調査書の提出がないので、高専で何をやってきたかを伝えたい場合は面接で言う必要がある。
  • 他の大学受験にも言えますが、腕時計を忘れないこと。基本はどこの試験会場にも時計はないです。特に広大情報科学部は筆記試験が2時間半と長く、時計がないと時間管理ができず厳しい戦いになってしまう。
  • わからない問題は、こうやったら解けそうという方針でも書いておくと部分点がもらえるかもしれない。後悔のないように書けることは書いておくべき。

 

何か質問があればX(Twitter)で(@aomidro3106)に遠慮なくDMしてください。読んでいただきありがとうございました。